和装用の生地でよく聞く名前も、どんなものなのか知っておくといいですね。 和装で一般に使われる生地は、大きくわけると絹・木綿・麻・毛・化繊の五種類です。 下の表は現代よく使われている生地のうち代表的なものをあげてみました。 |
ウール | |
用途 | 着物・羽織ほか |
特徴 | 厚地の毛織物。和服の場合は普段着用に単衣に仕立てる。夏用サマーウールもある |
風合い | 丈夫でシワになりにくく、シミも付きにくい。 |
お召し(おめし) | |
用途 | 着物・羽織ほか |
特徴 | 先練り、先染の高級絹織物。しぼが縮緬より細かくなっている。縞、絣などの柄のほか、絵羽お召、縫い取りお召、上布お召などがある |
風合い | からだに馴染んで裾さばきがよいが、湿気に弱いという欠点もある |
唐織り(からおり) | |
用途 | 帯・能装束 |
特徴 | 刺繍のように模様が浮き出ている。先染めの織り物。華麗で重厚感がある。 |
風合い | 厚手で張りがある。 |
塩瀬(しおぜ) | |
用途 | 帯・半衿ほか |
特徴 | 平織りの絹織物で「塩瀬羽二重」ともいう。「塩瀬」は地名ではなくその語源は不明。 |
風合い | 厚地でパリッとしているが、しなやかなので帯に仕立てると締めやすい。 |
紗(しゃ) | |
用途 | 着物・帯・襦袢ほか |
特徴 | 目の粗い絹織物。二本の経糸左右に互いに位置を変え、すきまを作るもじり織りの一種。 |
風合い | 薄くて軽く、透けている夏用の生地。 |
繻子(しゅす) | |
用途 | 帯・足袋ほか |
特徴 | 経糸と緯糸の組織点が一定の間隔をあけて配置されている織物で素材はさまざま。やわらかく肌触りが良いが、糸が長く浮くので摩擦に弱く擦り切れやすい |
風合い | ビロードのように滑らかで光沢がある。 |
上布(じょうふ) | |
用途 | 着物・帯ほか |
特徴 | 細く上質な糸で織った麻布で、高級品だが普段着・街着用。先染めの絣(かすり)と後染めようの白生地と両方ある |
風合い | 薄手で軽く、パリッとした張りがある夏用の生地。通気性があり肌さわりもさわやか。 |
縮(ちぢみ) | |
用途 | 着物ほか |
特徴 | 強く撚った糸を使って織ることにより表面にしぼのある織物。絹・麻・綿など素材もさまざま。 |
風合い | 表面に凹凸があるため肌触りが良い夏用の生地。 |
縮緬(ちりめん) | |
用途 | 着物・帯・帯揚げ・帯締め・バッグ・鼻緒ほか |
特徴 | 表面に細かいしぼがある絹織物。白生地に織って後染めする場合が多い。しぼが特に細かくて高級感のある一越縮緬や地紋の浮き出ている紋縮緬などがある。 |
風合い | ふんわりと柔らかく、体に心地よくなじむ。 |
綴織り(つづれおり) | |
用途 | 帯 |
特徴 | 絵画のような自由な模様表現ができる織り方。組織は平織りだが緯糸が色の境目で織り返しつながっていない為「はつれ穴」といわれる隙間がわずかに生じる。 |
風合い | 堅くしっかりしている |
紬(つむぎ) | |
用途 | 着物・帯・鼻緒ほか |
特徴 | 均一な絹織物にならないくず繭を紡いだ、太くて節のある「紬糸」で織るため、表面に凹凸がある。高価だが普段着・街着用の生地で、先染めの絣と後染めのための生成り地と、両方ある。 |
風合い | ざっくりとした素朴さと、渋い光沢が魅力。軽くて張りがあり暖かい。 |
緞子(どんす) | |
用途 | 帯 |
特徴 | 繻子織りの組織で織る、模様のはっきりした絹織物。先染めの場合が多いが、後染めの生地もある。 |
風合い | 光沢があり手触りが柔らかい。 |
錦織り(にしきおり) | |
用途 | 帯・バッグ・鼻緒ほか |
特徴 | 複数の色糸を使って模様を表した先染めの紋織物の総称。金襴・唐織などは錦の一種。 |
風合い | 厚手で張りがあるものが多い。 |
芭蕉布(ばしょうふ) | |
用途 | 着物・帯 ほか |
特徴 | 糸芭蕉の繊維を裂き、手で結んだ糸で作る沖縄の夏生地。先染めの絣が多いが、後染め用生成り地も作られている。 |
風合い | 強い張りがあり、通気性に優れているので涼しい。 |
羽二重(はぶたえ) | |
用途 | 着物・帯・半衿 ほか |
特徴 | 厳密で上質な絹織物。なめらかな平織りの生地で、留袖の比翼などに用いられる。 |
風合い | しっとりと柔らかく光沢があり、体に良くなじむ。 |
ポリエステル | |
用途 | 着物・襦袢・半衿・帯揚げ・足袋 ほか |
特徴 | 化繊繊維なので普段着用だが、家で洗えてシミになりにくい上に丈夫なので、気軽に着られる。なお、化繊は他にレーヨン・キュプラなども使われる。 |
風合い | 軽くて張りがあるが、通気性・吸湿性はほとんどない |
木綿(もめん) | |
用途 | 着物・浴衣・帯・襦袢・足袋 ほか |
特徴 | 綿花の繊維を紡いだ糸で織る普段着用の織物。先染めと後染めと両方ある。 |
風合い | 通気性・吸湿性に優れ、肌触りが良い。 |
羅(ら) | |
用途 | 帯・夏用コート ほか |
特徴 | 経糸を左右の経糸に絡ませて作る。網目状のすき間が多いもじり織りの一種で、薄く透けている夏用の絹織物。先染めが多い。 |
風合い | 通気性が抜群で、シワになりにくい。 |
綸子(りんず) | |
用途 | 着物・襦袢・帯揚げ ほか |
特徴 | 地紋を織り出した絹織物で、絹の輝きがまばゆい。 |
風合い | 縮緬よりも薄手で、手触り良くやわらか。 |
絽(ろ) | |
用途 | 着物・襦袢・帯揚げ・半衿・帯 ほか |
特徴 | 薄い夏用の。紗と平織りの組み合わせたすき間のあるもじり織りの一種。素材は絹・綿などさまざまで絽縮緬・絽綴れなど織り方のも多い。 |
風合い | 羅や紗ほど透けないが薄くて軽い最も代表的な夏生地。 |