四季彩館ブログ

兎の柄について

2014年01月08日 » ブログ,着物の知識


「兎」の文様について
古今東西を問わず、
愛され、親しまれてきた兎。

日本において、
その兎が着物や帯、調度品などの
意匠のモチーフとして
盛んに用いられるようになったのは、
桃山時代の頃です。

当時、京の豪商として有名だった
角倉了以(すみのくらりょうい)は、
草花の下に兎が座る
「花兎金襴」(かときんらん)と呼ばれる文様を
愛用しました。

角倉了以は、豊臣秀吉の朱印船に加わり、
安南国(ベトナム)との貿易を行って富を得て、
私財を投じ京都の高瀬川を開削した功績が称えられ、
名を残した人物です。
その角倉了以が愛用した「花兎金襴」(かときんらん)は、
のちに「角倉金襴」(すみのくらきんらん)とも呼ばれ、
名物裂の文様となりました
江戸時代のはじめには、
波の上を跳ねる兎の図を意匠化した
「波兎」(なみうさぎ)という文様が大流行しました。

波に兎が跳ねているという不思議な組み合わせは、
琵琶湖から眺める竹生島(ちくぶしま)の
神秘的な美しさを歌い上げた
「竹生島」という謡曲(能)に由来しています。

謡曲「竹生島」の中には、
『月海上に浮かんでハ 
   兎も波を奔(カケ)るか』
(月が湖面に映えて浮かんでいるときは
   月の兎も湖面の波の上を駆け跳ねているのですね)
というとても美しい詩があります。

「波兎」はその詩にあらわされた情景を
簡略して意匠化したもので、
狂言装束の肩衣(かたぎぬ)の文様としても用いられました。

また波に兎とは、月に兎という意味合いをも含むことから、
月の神秘な力をあらわす吉祥文様として
庶民の間にも広まり、人気となりました。

江戸時代中期になると、
兎に植物や人物を組み合わせて意匠化したものが
多くつくられるようになります。
その中でも、兎が好物とする木賊(とくさ)を組み合わせて
意匠化した着物や帯は人気を博しました。

また、しゃがみこんでいる兎の姿を
3方向から捉えて組み合わせた「三つ兎」と呼ばれる文様もつくられました。
日本では古来より数字の「三」は縁起の良いものとされていたので、
こちらも吉祥文様として現在でも多く用いられています。

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加工のいろいろ

2013年10月25日 » 加工のいろいろ

ここでは、職人技が光る和服によく見られる様々な加工をご紹介いたします。

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柄のいろいろ

2013年10月22日 » 柄のいろいろ

和服独特の文様や柄ご紹介いたします。

文様とは、形、色、構成の全てを表すときにいいます。
紋様とは織地紋を、文様は染めたものををいいます。
模様とは図柄の構成を指し、柄は単一のモチーフのことをいいます。

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素材のいろいろ

2013年10月16日 » 素材いろいろ

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着物や帯のたたみ方

2013年10月11日 » 着物や帯のたたみ方

着物のたたみ方 本だたみ

着物をたとう紙などに入れてしまう、長着(着物)の一般的、基本的なたたみ方です。

丈は二つ折り、三つ折りなどたとう紙や収納場所に合わせ調節して下さい。

着物本だたみ1 1.衿を左にし広げます。次に下前(右)の脇を縫い目できっちりと折ります。
着物本だたみ2 2.下前の衽(おくみ)の縫い目を目安にして手前に折り返します。
着物本だたみ3 ※衿は内側に自然に折ります。
着物本だたみ4 3.上前(左)衽を下前(右)の衽の上に重ねます。
着物本だたみ5 4.上前(左)脇の縫い目を下前(右)脇の縫い目に重ねます。背縫いで折ったよう形になります。
着物本だたみ6 5.左右の袖をそれぞれ、袖付けの縫い目で外側、身頃に向かって折り返します。
着物本だたみ7 7.丈を半分にします。丈はたとう紙や収納場所に合わせ調節して下さい。※袖の折り方はその他、左右両袖を重ねて折る方法などがあります。

 

 

●着物のたたみ方 夜着だたみ(「大名だたみ」ともいわれます)

夜着だたみは大きくたたむので、シワがつきにくくなります。

着付け前や着物を準備しておく場合など、一時的な目的で用いられます。

(撮影では、付け下げの着物を使用しています。夜着だたみは留袖等で用いられることが多いため、5つ紋がある場合を想定して紋に紙を当て説明しています。)

着物夜具だたみ1 1.衿肩明を左にして、着物を広げます。
着物夜具だたみ2 2.衿を自然に内側に折りたたみ、脇の縫い目で下前(右)、上前(左)の順にたたみます。
着物夜具だたみ3 3.袖つけの縫い目で下前の袖(右袖)、上前の袖(左袖)の順に折ります。袖が身頃の上にきます。
着物夜具だたみ4 4.紋や箔、刺繍の位置には薄紙や和紙、紋紙などを当て、丁寧に扱います。
着物夜具だたみ5 5.裾を肩山にあわせ、身頃を半分に折りたたみます。
着物夜具だたみ6 ※裾は肩山より少し出し加減にします。
着物夜具だたみ7 6.後ろ身頃の柄にも薄紙や和紙を当て、丁寧に扱います。
着物夜具だたみ8 7.さらに丈を半分に折ります身頃のたたみシワが気になる場合は、芯になるもの(芯棒など)を間にはさんでおくと良いです。
着物夜具だたみ9 ※芯に印刷があるもの等は、着物に汚れがつかないよう気をつけて下さい。

 

 

●着物のたたみ方 袖だたみ(簡易だたみ)

袖だたみは、着物を広げてたたむスペースがない場合や時間がない場合などに適した一時的なもので、簡易的、洋服感覚のたたみ方といえ、収納する場合などには「本だたみ」をします。座らず立った姿勢でたためることも、袖だたみの便利な点です。また浴衣を家庭でお洗濯する時やその他、仕立てをしていない着物は本だたみできないので呉服屋さんやデパートなどで留袖や振袖を店頭に並べる際にも用いられます。

着物袖だたみ1 1.肩山、袖山を合わせます。脇線も同じです。
着物袖だたみ2 2.左右の両袖を袖付けの位置で、身頃に向かって折り返します。
着物袖だたみ3 3.丈を半分に折ります。
着物袖だたみ4 4.必要であれば、さらにもう半分に折ります。

 

 

●長襦袢のたたみ方

長襦袢をたとう紙などに入れてしまうたたみ方です。

また、肌襦袢も同じようにたたみます。

長襦袢のたたみ方1 1.衿を左にし広げます。下前を脇の縫い目できちんとたたみます。
長襦袢のたたみ方2 2.上前も下前と同じように脇の縫い目できちんとたたみます。
長襦袢のたたみ方3 3.衿を折る場合は、自然に内側へ折り整えます。
長襦袢のたたみ方4 4.背縫いを目安にして、下前の脇を中心に向かってたたみます。次に袖(袖口)は脇の折り目に向かって折ります。
長襦袢のたたみ方5 5.上前も4と同じように、中心に向かってたたみ、袖も同様にします。(上前、下前の脇線が中心で合います。)
長襦袢のたたみ方6 6.裾を肩山に向かって、たとう紙に合わせ折ります。(背縫いが中心にきています)たとう紙などに収納します。写真は二つ折りにしました。

 

 

●名古屋帯のたたみ方

(ご注意!)

帯に一旦不必要な折り目を入れると折り目はとれません。

(お太鼓や胴の柄にあたる部分は、特に注意しましょう。)

また美しく着付できません。

お仕立て時についてある「折り目」を基本にし、たとう紙の大きさを考えたたみます。

名古屋帯のたたみ方1 1.たれを左にしておきます
名古屋帯のたたみ方2 2.胴回りと太鼓の縫いどまりの位置で、三角に折ります。てを帯の端に揃えて重ねていきます。
名古屋帯のたたみ方3 3.たれ先の位置で右側と同じように三角に折ります。
名古屋帯のたたみ方4 ※もう少し手前で三角にする場合もあります。
名古屋帯のたたみ方5 4.残りの手の部分は端に揃え、右側三角の底の位置でての残りを内側に折ります。
名古屋帯のたたみ方6 (帯は厚みがあるので)少しすきまをあけて折り返すと、次の手順で美しくたためます。
名古屋帯のたたみ方7 5.右三角の底の位置で内側に折ります。
名古屋帯のたたみ方8 6.左はたとう紙に合わせ丈を調節して下さい。
名古屋帯のたたみ方9 7.表に返し、たとう紙に収納します。

 

 

●名古屋帯のたたみ方(簡易たたみ)

簡単な上、かさばらないたたみ方で着付や踊り、お茶のお稽古の行き来などの帯の持ち運びに便利な簡易的なたたみ方で、お太鼓や胴の部分に柄のない帯に適しています。(お断り:写真は「お太鼓柄の名古屋帯」を便宜上用いていますが、お太鼓柄の帯や特に箔や刺繍のある帯には、不必要な折り目がつくことがありますので用いないで下さい。)

名古屋帯の簡易たたみ1 1.たれを左にしておき、胴回りと太鼓の縫いどまりの位置で三角に折ります。
名古屋帯の簡易たたみ2 2.帯幅に合わせ、ての部分を屏風だたみで重ねていきます
名古屋帯の簡易たたみ3 (「屏風だたみ」にした状態-横から見たところ)
名古屋帯の簡易たたみ4 3.手を重ねた(屏風だたみの)部分を芯にして、たれの部分を巻いていきます。
名古屋帯の簡易たたみ5 (巻いている状態)
名古屋帯の簡易たたみ6 4.最後は形がつかないよう、たれ先だけ反対側に折り返します。
名古屋帯の簡易たたみ7 5.持ち運ぶ時は、風呂敷などに包んでください。

 

 

●袋名古屋帯のたたみ方(てが縫ってある場合)

※「手の部分が縫っていない袋名古屋帯」の仕立ての場合は、「袋帯」と同じたたみ方をします。

(注意)

帯に一旦不必要な折り目を入れると折り目はとれません。

(お太鼓や胴の柄にあたる部分は、特に注意しましょう。)

また美しく着付できません。

お仕立て時についてある「折り目」を基本にし、たとう紙の大きさを考えたたみます。

袋名古屋帯のたたみ方1 1.外表にして(柄のある方が表)前後の柄がほぼ同じ位置にくるように合わせます。
袋名古屋帯のたたみ方2 2.たれ先(左)に合わせて折り返し、手の部分(右)も帯幅に合わせ折り返します。
袋名古屋帯のたたみ方3 3.お太鼓および前の柄に折り目がつかないよう注意し、左右内側に折り返します。たとう紙に合わせ長さを調節して下さい。
袋名古屋帯のたたみ方4 4.表に返し、たとう紙に収納します。

 

 

●袋帯のたたみ方(小さめ・総丈1/8の大きさ)

(注意)

帯に一旦不必要な折り目を入れると折り目はとれません。

(お太鼓や胴の柄にあたる部分は、特に注意しましょう。)

また美しく着付できません。

お仕立て時についてある「折り目」を基本にし、たとう紙の大きさを考えたたみます。

袋帯のたたみ方1 1.外表にして(柄のあるほうが表)、総丈を二つ折りします。
袋帯のたたみ方2 2.たれ先を外側に、さらに二つに折ります。
袋帯のたたみ方3 3.たたむ時は両端をきちんと揃えます。
袋帯のたたみ方4 4.さらにたれ先を二つに折り、たとう紙に収納します。

 

 

●袋帯のたたみ方(大きめ・総丈1/6の大きさ)

(注意)

帯に一旦不必要な折り目を入れると折り目はとれません。

(お太鼓や胴の柄にあたる部分は、特に注意しましょう。)

また美しく着付できません。

お仕立て時についてある「折り目」を基本にし、たとう紙の大きさを考えたたみます。

袋帯のたたみ方1 1.外表にして(柄のあるほうが表)、総丈を二つ折りにします。右側3分の1の位置で、中心に向かって内側に折ります。
袋帯のたたみ方2 2.たたむ時は、端をきちんと揃えます。
袋帯のたたみ方3 3.左側も(右同様に)たれ先を上にして、中央に向かって折り重ね、たとう紙に収納します。

 

 

●コートのたたみ方

和装コートは、さまざまな丈や衿の形がありますがたたみ方は同じです。

最後にたとう紙に合わせ、コートの丈を折り返します。

道行コート六分丈 写真:道行コート(六分丈)
雨コート 写真:雨コート(対丈)
和装コートたたみ方1 1.スナップやボタンは外した状態にし、衿を左にして広げます。
和装コートたたみ方2 2.左右脇の縫い目できっちり折り、下前(右)上前(左)の順にたたみます。
和装コートたたみ方3 3.背縫いを目安にして、左右脇の縫い目が中央で重なるよう、下前(右)上前(左)の順に中心に向かって折ります。
和装コートたたみ方4 袖は、袖口の部分を折り幅に合わせるようたたみます。
和装コートたたみ方5 ※着物と違い、袖に縦の折れ線がつくことになります。
和装コートたたみ方6 5.たとう紙に合うように、必要であれば丈を折ります。

 

 

●羽織のたたみ方

羽織は道行コートと違い、通し衿でマチがついています。マチとは前身頃と後ろ身頃の間にある台形の形をした部分をいいます。(下の写真参照)たたみむ時には、それらの点に注意します。また羽織には前下がりがついているので(2の写真にあるように)裾がずれたような形になります。

羽織のマチ ※マチを裏から見たところ
羽織たたみ方1 1.衿を左にして広げます。衿を縫い目に沿って外側(身頃側)に折ります。
羽織たたみ方2 ※衿は身頃側へ
羽織たたみ方3 2.(あらかじめマチの中心の位置に折り山がついてあるので、それを目安に)マチ幅を半分に折ります。左右の脇の縫い目が重なった状態になります。
羽織たたみ方4 3.下前(右)の衿に上前(左)の衿を重ねます。
羽織たたみ方5 5.上前(左)の脇の縫い目を下前(右)の脇の縫い目に重ねます。(背縫いで折った形になります。)
羽織たたみ方6 6.袖をそれぞれ外側に折ります。
羽織たたみ方7 7.たとう紙に合わせ、必要であれば丈を折ります。

 

 

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着物の各部名称と寸法

2013年10月09日 » 着物の各部名称と寸法

身丈(みたけ)

着物(長着)の身丈は仕立て上がりの着物の長さ、出来上がりの着物の肩山から裾までの長さ、またはその寸法をいいます。

一般的に身丈は身長と同寸としますが、着付け時の腰紐位置が高い人、いかり肩、肉づきのよい人、帯の位置の低い人などは身長にいくらかプラスした寸法を身丈とします。また着物の格、染めの着物、織りの着物など着物の種類によっても長さを加減したりする場合があります。

※長着(ながぎ)とは着物のことで袷長着、単衣長着などと使い、袷の着物、単衣の着物と同じ意味です。

・身丈 標準寸法 身長と同寸 もしくは 身長+α

着丈(きたけ)

着丈とは長襦袢やコートをつくる(仕立てる)際に必要な寸法です。身長の100分の80から83を基準とします。実測する場合は、首の付け根(首のぐりぐり)から床までをまっすぐに測ります。着丈におはしよりを足した寸法が身丈になります。

・着丈 標準寸法 身長×80/100~83/100

衿下(えりした)・褄下(つました)

衿下は褄下(つました)、竪褄(たてづま)ともよばれその部分、またその寸法をいいます。
衿下は身長から寸法を割り出し、一般的には身長の2分の1とされています。しかし着る人の好みや腰紐を結んだ位置から裾線までを実測し、3~4センチ引いた寸法を用いる場合もあります。歩きにくさの点などから83センチ(2尺1寸5分)くらいを上限とします。

・衿下(褄下) 標準寸法 身長の1/2

袖丈(そでたけ)

袖丈は袖の長さ、またはその寸法をいいます。袖丈は身長の3分の1を基準として着物の格、年齢、好みなどによって決めます。一般的には1尺3寸の袖丈を用い、多くは身長と年齢を考慮し決めます。長身の方の着物、柄ゆきが豪華な訪問着や仕立て直しの場合など(振袖から訪問着へ)1尺4寸~1尺5寸など袖丈を長めにしたり、年配の方や着物を着慣れた方、浴衣や普段着を1尺2寸の袖丈にしたりする場合もあります。

・袖丈 標準寸法 身長の1/3

衿幅(えりはば)

衿幅には広衿(ひろえり)、撥衿(ばちえり)、棒衿(ぼうえり)の3種類があります。広衿は背中心から衿先まで通しの衿幅で11センチ(3寸)から11.5センチ(4寸)、バチ衿は背中心から衿先にかけて自然に広がった形をしていて背中心で5.5センチ(1寸5分)衿先で7.5センチ(2寸)、棒衿は背中心から衿先まで通しの衿幅5.5センチ(1寸5分)です。

広衿は着物に、バチ衿は長襦袢、棒衿は浴衣などに多く用いられます。しかし着付けがし難いので着物の衿をバチ衿や棒衿に、また胸元をふっくら着付けるために長襦袢の衿の形を広衿など個性を出す場合もあります。また長襦袢の衿は、着物から出ないように上記の寸法から1~2分控えます。
 衿幅の寸法 

衿幅の種類
棒衿
バチ衿
広衿
背中心
1寸5分
1寸5分
3寸~4寸
衿先
1寸5分
2寸
3寸~4寸
着物の種類
浴衣
男物着物(長着)
女物長襦袢など
女物着物(長着)

 

裄(ゆき)

裄は、着物の背縫いから袖口の長さまでのことをいいます。

着物を購入もしくはお仕立てする際には必ず実測する箇所でもあります。肩幅と袖幅を加えた寸法が裄になります。

身八つ口(みやつぐち)

身八つ口とは身頃の脇のあきのこと、またその寸法をいい「身八つ」「八つ口」と省略してよばれることもあります。

身八つ口は男物にはなく、女物と子供物の着物にだけあります。着付けの時、手を入れて着物を整えたり実用面でも重要な箇所です。体型、体の厚みなどにより多少加減しますが、多くは標準寸法が用いられます。

・身八つ口 標準寸法

3寸5分~4寸(約13.5~約15センチ)

繰越し(くりこし)

くりこしとは和服の衿を抜いた(繰った)ように着るため、衿肩明きを肩山より後ろ身頃側へずらすこと、またはその寸法をいいます。

その寸法は一般的には5分とされていますが、振袖などの礼装用の着物は普段着より多めにしたり、着物の格や着方、好みで5分~8分の間で加減します。また紬などの織りの着物は5分、染めの着物は7分など着物によって繰越しを変える方もあります。

・繰越し 標準寸法 5分(約2センチ)

衽下がり(おくみさがり)

衽下がりとは肩山から衽先までの長さのこと、またその寸法をいいます。

衽先とは身頃と衿と衽が合った部分で、細くとがっていることから剣先(けんさき)ともいわれます。年齢や体型、身長などで多少加減します。

・衽下がり 標準寸法 6寸(23センチ)

衿肩明(えりかたあき)

着物は立体裁断ではないので、洋服のように曲線でないため布地を切り取ったりできないので、布地の肩山の位置に切り込みを横方向にいれて首周りをつくります。その部分、またはその寸法を衿肩明(えりかたあき)といいます。標準寸法の2寸2分~2寸4分(約8.5~約9センチ)を用いますが、年齢や体型、首の太さなどで多少増減します。下に着るものほど衿肩明は小さくなり、羽織などは着物より衿肩明が大きくなります。

・衿肩明き 標準寸法 2寸2分~2寸4分(8.5~9センチ)

袖付(そでつけ)

袖付けは、身頃と袖が縫い合わさっている部分のこと、またその寸法をいいます。

袖付けは標準寸法を用いることが多いですが、年齢や体型、帯の位置などで多少加減したりします。帯の結ぶ位置から若い方は5寸5分、年配の方は6寸が好まれるようで、振袖などは帯を高い位置に締めるので袖付けは短く、年配の方の着物などは帯を下のほうで結ぶので袖付けが長くなります。若い方が長い袖付けの着物を着ると、つっぱったように感じ着付けや帯が結びにくく、また袖付けの短い着物にお太鼓などの普通の帯結びをすると、身八つ口が開いたようになり、あまり格好のよいものではありません。

・袖付け 標準寸法 5寸5分~6寸(約21~約23センチ)

袖口(そでぐち)

袖口とは手を通すところで標準寸法を用いることが多いです。袖丈とのつりあいで決めたりする場合もあります。

・袖口 標準寸法 6寸(23センチ)

 

長襦袢の標準寸法

着物や長襦袢を反物で買うと仕立てをしないと着れませんが、最近では仕立て上がりの着物や襦袢もたくさん見かけるようになりました。仕立て上がりの着物や長襦袢は、お仕立て代(縫製代)が不要なため安価に購入することができます。標準として用いられている寸法は、身長が155センチ〜165センチのものが多いようです。着物のお仕立て等には鯨尺を用いますので、センチとは必ず一致しません。(多少の誤差が生じます。)最近の既製品は「160センチの方向け」などの丁寧な表記のものが多いです。

 長襦袢の標準寸法(目安) 

長襦袢各部の名称
鯨尺(くじらじゃく)
センチ
着丈
3尺4寸5分~3尺6寸5分
130~138センチ
1尺6寸3分~1尺7寸3分
61~65センチ
袖丈
1尺2寸4分~1尺5寸9分
47~60センチ
袖幅
8寸4分~8寸9分
31~34センチ
肩幅
7寸9分~8寸4分
30~31センチ
前幅
6寸8分~7寸
26~28センチ
後幅
7寸8分~8寸
29~30センチ
袖口
5寸7分~6寸2分
21~23センチ
袖付
5寸3分~5寸8分
20~22センチ
竪衿(竪しず)
4寸
15センチ
衽下がり
3寸5分~4寸
17~19センチ
衿肩明
2寸2分~2寸4分
8.5~9センチ
身八つ口
3寸5分~4寸
13.5~15センチ
くりこし
5分~8分
2~3センチ
衿幅(バチ衿)
背中心1寸4分、衿先2寸
背中心5.5センチ、衿先7.5センチ

 

着物の標準寸法

着物や長襦袢を反物で買うと仕立てをしないと着れませんが、最近では仕立て上がりの着物や長襦袢もたくさん見かけるようになりました。仕立て上がりの着物や長襦袢は、お仕立て代(縫製代)が不要なため安価に購入することができます。標準として用いられている寸法は、身長が155センチ~165センチのものが多いようです。着物のお仕立て等には鯨尺を用いますので、センチとは必ず一致しませず多少の誤差が生じます、ご注意下さい。最近の既製品は「160センチの方向け」などの丁寧な表記のものが多いです。

 着物(長着)の標準寸法(目安) 

長襦袢各部の名称
鯨尺(くじらじゃく)
センチ
着丈
3尺4寸5分~3尺6寸5分
130~138センチ
1尺6寸3分~1尺7寸3分
61~65センチ
袖丈
1尺2寸4分~1尺5寸9分
47~60センチ
袖幅
8寸4分~8寸9分
31~34センチ
肩幅
7寸9分~8寸4分
30~31センチ
前幅
6寸8分~7寸
26~28センチ
後幅
7寸8分~8寸
29~30センチ
袖口
5寸7分~6寸2分
21~23センチ
袖付
5寸3分~5寸8分
20~22センチ
竪衿(竪しず)
4寸
15センチ
衽下がり
3寸5分~4寸
17~19センチ
衿肩明
2寸2分~2寸4分
8.5~9センチ
身八つ口
3寸5分~4寸
13.5~15センチ
くりこし
5分~8分
2~3センチ
衿幅(バチ衿)
背中心1寸4分、衿先2寸
背中心5.5センチ、衿先7.5センチ

 

身丈(みたけ)と着丈(きたけ)の違い

身丈と着丈はどちらも出来上がった和服の丈のよび方ですが、それぞれ意味は違います。着丈は長襦袢や雨コートの丈に用い、着るとちょうどの長さのことで対丈ともいいます。身丈は着物(長着)の出来上がりの寸法のことで着丈におはしより分を足した長さのことをいいます。男物の着物はおはしよりがなく、対丈で着るので着物であっても着丈を用います。
・着丈 長襦袢、雨コート、男物長着(着物)
・身丈 女物長着(着物)

標準寸法を用いる箇所

着物を自分のサイズにあわせて仕立てる場合は身長、手の長さ(裄)、ヒップ(腰まわり)から寸法を割り出しますが、以下の箇所については好みがない場合は標準寸法を用います。

・袖付

・袖口

・衽下がり

・身八つ口

・衿幅

・衿肩明

・くりこし

背の高い方、手の長い方はご注意を

着物の反物、着尺一反は一般的に絹物で幅は約36センチ(9寸5分)、長さは約12メートルが規格になっています。身長が165センチ以上の長身の方、また裄が68センチ以上ある手の長い方はこの用布では間に合わないことがありますので購入の際は注意して下さい。最近ではそのような方のために、長尺のものや広幅の反物なども見かけるようになりました。詳しくは呉服屋さんなどの専門家にたずねてみて下さい。

着物を仕立てる際に必要な寸法

着物は洋服と違い、身体のラインに沿ってぴったり仕立てませんので、多少サイズが異なっても着用できます。しかし最近の若い女性などは体格もよく、既製の着物や標準サイズでは合わないこともあるようです。和服を着こなすためには、やはり自分の体型にあった寸法(サイズ)の着物が美しく着装できます。

自分の体型に合った着物をつくる(仕立てる)場合は、身長、腰まわり(ヒップ)、背中心から手首まで
の長さを測る必要があります。身長から、身丈、着丈、衿下(褄下)寸法、袖丈。腰まわりから後ろ幅、前幅、衽幅。背中心から手首まで(首のぐりぐりから手首のぐりぐりまで)から裄を割り出し、自分の体型にあった着物をつくります。袖付、袖口、衽下がり、身八つ口、衿幅、衿肩明、くりこしなどは、体型にあまり左右されない箇所なので特に好みがない場合は標準寸法を用いることが多いので、呉服屋さんなどの専門家に任せるとよいでしょう。

・着物を仕立てるには・・・

身長、腰まわり、背中心から手首までの3箇所を測る

・身長から
身丈、着丈、衿下寸法、袖丈

・腰まわりから

後ろ幅、前幅、衽幅

・背中心から手首まで

裄(袖幅、肩幅)

・その他の箇所は標準寸法を用いることが多い

袖付、袖口、衽下がり、身八ツ口、衿幅、衿肩明、くりこしなど

着丈の決め方と注意点

着丈は、身丈からおはしより分を引いた長さと同じで、着丈は長襦袢や雨コートを仕立てる際に必要な寸法で、対丈(ついたけ)ともよばれます。一般的には身長をもとに着丈を割り出し、体型により加減します。
身長からの割り出し方は、身長かける100分の83で算出します。しかし着丈(=対丈)という表現からもおわかりのように、着付をしたときにぴったりの寸法をいいます。算出した数値に加減をすることもありますが、計算ではわからない「猫背」や「ふっくらした体型」などで誤差が生じることがあります。目安として計算で出しておき実測されるのが良いと思います。着丈を実測する場合は、首の付け根(首のぐりぐり)から床までをまっすぐに測ります。

着丈が短かったり、長かったりするとどうでしょう?

着丈の短い雨コート、長コートは裾から着物が見え不細工な着物姿になります。また長襦袢は着物(長着)の汚れを防ぐ意味ももっていますので短いとその意味を成しません。反対に着丈が長い短い雨コート、長コートは歩きにくく裾に雨がはねて意味がありません。また長襦袢は着付けをしにくいだけでなく、着物の裾からのぞいては困ります。身丈は紐で調節できますが、着丈は調整しませんので寸法の割り出しが重要ということがいえます。

身幅の決め方と注意点

身幅が自分のサイズにあっていると背縫い線は後ろ中心を通り、上前衽の衿下(=褄下)の線は下前(右)脇の縫い目にきれいに重なります。身幅を広く仕立てると、太って見えるだけでなく身幅が広い分、身体に巻くことになりますので歩きにくくなります。また反対に身幅が狭いとはだけて気になり、この場合も歩きにくく太ももが目立ちます。身幅の線、何でもないようですが縦の縫い目は自分の身体に合っていないと思った以上に目立つものです。

身幅は衽幅、前幅、後ろ幅からなり、衽幅3、前幅5が美しい比率といわれています。また脇線は身体の真横でなく、やや前よりにくるようにします。こうすることにより、すっきりとした前姿に見えるよう工夫されています。

最近の若い女性は手が長く、ウエストがとても細い方が多いようです。着物は洋服のように身体のラインにぴったり仕立てませんが、スマートで裄の長い方の体型をそのまま身幅の寸法にあらわすと逆三角形の着物になってしまいます。そういう形に仕立てると着物の生地に負担がかかり仕立ても着付けも上手くいきません。そのようなことから前幅6寸5分から7寸、後ろ幅は7寸5分を基準として肩幅とのつりあい等を考慮し決めることが多いです。

裄の決め方と注意点

裄は着物を自分の寸法に仕立てる上で、実測した寸法を用いる箇所で、故にごまかしがきかない重要な箇所といえますので採寸の際は念入りに計りましょう。採寸は腕を45度に上げ、首のぐりぐりから手首のぐりぐりまでの長さを腕に沿って測り、短めの裄が好みの方は手を肩に水平に上げ測ります。また体の特徴によって、いかり肩、なで肩、布地によって多少加減をしたりします。裄は肩幅と袖幅を足したものですが、外観的には肩幅より袖幅を広く割りふったほうが美しく見えます。(例えば、裄が1尺7寸5分の場合、肩幅8寸5分、袖幅9寸など。)

しかし一般的に反物の幅は通常約6センチ(9寸5分)が規格で、生地により多少前後するものの肩幅、袖幅とも出来上がりで最大約34センチ(9寸)までくらいしかとれません。裄の長い方は、広幅の反物を探されるなど事前に呉服屋さんに尋ねてみて下さい。

衿下(褄下)寸法の決め方と注意点

衿下寸法は身長の約2分の1内外が標準といわれています。長すぎると着物の前がはだけて歩きにくいので長くても約82センチ(2尺1寸5分)くらいまでにしておきます。また採寸する場合は、腰紐の位置から裾線までの寸法から3~4センチ引いた寸法とすることが多いようです。しかし着る人の好みや、やわらかい着物とかたい着物では裾線の長さが違ったりするので多少の違いがあります。衿下寸法は着付面、見た目にも重要なポイントとなり、衿下が長いと間延びした印象になり、また着くずれの原因にもなります。反対に衿下が短いと野暮ったく、足も短く見えます。このことから、衿先から腰紐の引っかかり分がプラス約3~4センチが見た目、機能的にもよいと思われます。何でもないような衿下。実はとても重要な役割をしているのです。

身丈の決め方と注意点

身丈は一般的に身長と同寸、もしくは着丈におはしより分を加えた寸法にします。また着物の格やかたい着物、やわらかい着物などで多少長さを加減したりします。着丈とは肩山から裾までの長さをいい、おはしより分の長さとは首から頭の頂点までの長さで25センチから27センチ程度(6寸5分から7寸)をいいます。着装したときのおはしよりの長さは、帯の下から約7~8センチくらい出ているのが美しく見え理想的です。身丈を割り出す際の注意点としては、いかり肩の方、ふっくらした体型の方、年配の方で帯を下目に結ばれる方などは、身丈が普通の方より多めに必要となりますので身長にいくらかプラスされるほうがよいと思います。身丈の割り出しは非常に大切で、長すぎると着付けのときに着にくいだけでなく、紐を高い位置で結ばなくてはいけませんし、またおはしよりが長いということで(視覚的に)足が短く見えます。また逆におはしよりが短いと着くずれしやすく、その上バランスも悪く間がぬけた感じに見えます。身丈と着丈という表現がありますが、それぞれ違い身丈は着物(長着)の長さ、着丈は長襦袢、雨コートの長さに用います。

袖丈の決め方と注意点

袖丈は身長の3分の1とするのが一般的ですが、身長や着物の格、好みなどで違ってきます。例えば年配の方や着物を着慣れた方などが1尺2寸の袖丈にしたり、10代の方で振袖以外の着物をつくる場合に1尺5寸にすると、袖丈でかわいらしさを表現したりできます。しかしまちまちの袖丈の着物をつくると、長襦袢やコートもそれらに合わせたくさん必要となります。その点を考えて袖丈は決められると良いと思います。

 

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着物と下着

2013年10月07日 » 着物と下着

●うそつき襦袢

袖の部分を長襦袢に似せていることから、うそつき襦袢というユニークなよばれかたをしています。着物などの余り布、不要になった着物、羽裏(はうら)の残布(ざんぷ)、八掛(はっかけ)などの布を用いた襦袢の袖で、身頃は吸湿性のある晒(さらし)やガーゼなどの木綿を使った半襦袢です。袖に使った、共布があるようでしたらお揃いの裾除けを作ると、長襦袢顔負けの二部式の襦袢になります。おしゃれな襦袢ですが、あくまでも趣味の着物に着用するものですので、礼装には着用できません。着物を多くお持ちの方や着物に合わせて何枚も長襦袢は必要ない方に好まれ、とても便利です。単衣の長襦袢を作った残布でうそつき襦袢を作ると、一石二鳥です。

 

下着の着装順序

着物を着付けする場合に着物や帯にばかりを意識される方が多いですが、長襦袢をはじめとする下着は土台となるのでとても重要です。よく足袋を裾除け、肌襦袢を着た後に履かれる方がありますが、着付けの下地が乱れる原因となります。着装順序なんて関係ないと思われる方も多いですが、和装は下から順に重ねて着用していきます。着物や帯をつけた後では手直しがとてもしにくいものです。

着装順序

足袋→裾除け→肌襦袢→補正→長襦袢→着物→帯

足袋(たび)足元美人といわれるように、着物は白い足袋をはくので洋服以上に足元が注目されます。自分のサイズに合ったぴったりのものか、きつめのものを履きます。しわの入ったものやサイズの大きい足袋はみっともない印象になります。
裾除け(すそよけ)スカート状になった、巻き込み式のものなら着物と同じ打ち合わせにし、長襦袢より2、3センチ短くなるように着ます。
肌襦袢(はだじゅばん)
着物に合わせて衿をくります、衣紋(えもん)をぬくといいます。前は長襦袢から出ないよう浅めに打ち合わせます。
補正補正は下着ではありませんが痩せた方、太った方など体型に合わせてタオルなどを用いて着物に合う体型にします。(画像はカラータオルですが)タオルは「白」を用います。
長襦袢(ながじゅばん)肌襦袢の衿が見えないように長襦袢を着ます。長襦袢の着方により着物姿が決まるといっても過言ではありません。着物は襟元ひとつでだらしなく見えたり、老けて見えたりします。振袖を着る場合や若い方は深めに打ち合わせをします。
着物

 

その他の下着

和装用のその他の下着
最近では和装用のブラジャーやコルセットが呉服屋さんやデパートで販売されています。必要に応じ買い揃えてみるのもよいのではないでしょうか。

和装ブラジャー一般のブラジャーと違い、締め付けるのではなく、胸元を包み込むような形にデザインされています。バストが豊かな方は襟元が崩れる原因となりますので和装ブラジャーはとても便利です。

(写真提供:装いの道)

和装コルセットお腹とヒップを締め付けずに押さえて体型を整える目的で着用します。着崩れの原因とならないよう、上げおろしの必要のない、股上が浅めのものか逆に深いもの(股割れタイプ)をオススメします。

(写真提供:装いの道)

 

裾除け

●裾除け(すそよけ)裾除けは、着物や長襦袢の汚れや傷みを防いでくれ、足さばきをしやすくするために、すべりのよい絹、キュプラ、ナイロン、アセテートなどの生地が四季を通じ用いられます。形としてはスカート上のものと巻き込み式のものがありますが、巻き込み式のものの方が体型を問わず着用でき、着付け面でもスッキリとおさまります。すそ除けは、関東地方では蹴出し(けだし)、関西地方では裾除け(すそよけ)とよばれています。

 

肌襦袢

●肌襦袢襦袢の下に着る肌襦袢は、直接肌につけるものですから吸湿性があり、お洗濯に強い晒(さらし)やガーゼなどの木綿(もめん)が適しています。袖は着物を着たときに袖口からのぞかない長さ、着丈は腰くらいまでのもので、衿幅が細いものが衣紋(えもん)をぬきやすく着易いです。

 

半襦袢

●半襦袢半襦袢は、長襦袢の代わりに着る下着です。ことばの通り、長襦袢の半分ほど、腰くらいまでの長さで長襦袢の上身頃だけの形をしています。長襦袢同様に半襟をかけて、裾除け、肌襦袢の上に着用します。着物を毎日着る方などに好まれ、羽二重(はぶたえ)、縮緬(ちりめん)、メリンス、絽(ろ)、麻(あさ)などの生地を用いて広袖に仕立ててあります。
●二部式二部式とよばれる下着があります。長襦袢を半分に切ったような形、上下セパレートに分かれています。わかりやすくいうと半襦袢と裾回しのセットです。上下に分かれているので数枚もっていると着回しできたり、上身頃のみお洗濯などできたりとても便利です。
●うそつき襦袢袖の部分を長襦袢に似せていることから、うそつき襦袢というユニークなよばれかたをしています。着物などの余り布などを用いた襦袢の袖で、身頃は吸湿性のある晒(さらし)やガーゼなどの木綿を使った半襦袢です。袖に使った、共布があるようでしたらお揃いの裾除けを作ると、二部式の襦袢になります。おしゃれな襦袢ですが、あくまでも趣味の着物に着用するものですので、礼装には着用できません。着物を多くお持ちの方や着物に合わせて何枚も長襦袢は必要ない方に好まれ、とても便利です。

長襦袢の種類と更衣え

●長襦袢の種類着物は季節によって着物の材質、仕立て方法を変えたりする更衣(ころもがえ)という習慣があり、これにあわせ長襦袢も着替えます。袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、うすものと種類があります。素材は絹はもちろんのこと、ウール、麻、木綿、化繊などを季節、着物に応じたものを用います。

●長襦袢と季節
長襦袢には、仕立てや生地によって、袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、うすものがあり季節に合わせ着替え、更衣えします。それぞれ着用時期は地方により多少時期のずれがありますが、季節を先取りして着物の更衣えより半月から1ヶ月時期をずらし着用するところが多いようです。・袷長襦袢・・・11月~4月

袷の長襦袢は、11月から4月まで着用し、裾を引き返した仕立てをします。最近は暖房が普及していることもあって、胴の部分は単衣、袖部分だけを袷仕立てにした無双袖(むそうそで)にします。袖の種類は広袖もしくは丸みをつけた袖です。真冬もしくは寒冷地では胴の部分に裏がついた、袷仕立ての長襦袢を着用します。

・単衣長襦袢・・・5月~6月、9月~10月

単衣の長襦袢は、5月から6月と9月から10月に袷の長襦袢に使用する生地を単衣仕立てにし着用します。袖の種類は広袖もしくは丸みをつけた袖で、広袖にして袖口は反端をそのままに使うか、くけます。

・うすものの長襦袢・・・6月中旬~9月中旬

うすものの長襦袢は盛夏用として、6月の中旬から9月中旬まで、うすものの生地、絽(ろ)や紗(しゃ)、麻などを用い単衣仕立てにし着用します。そでは単衣と同じく、袖の種類は広袖もしくは丸みをつけた袖で、広袖にして袖口は反端をそのままに使うか、くけます。盛夏の着物は色目、生地ともに薄いので長襦袢選びに気をつけなければいけません。また、透けることから長襦袢の丈も重要になってきます。

長襦袢は、袷以外の仕立てにすると背縫いが見えた状態になります。特に単衣仕立てにすると、生地が薄いこともあり、座ったりすることによって背縫いが裂けたようになるのを防ぐために「衣敷当て(いしきあて)」という表地にあった生地、長襦袢の共布や羽二重などの別布を用いておしりの部分を補強する親切で実用的な仕立てがあります。

 

 

長襦袢(ながじゅばん)

和装では着物を長着(ながぎ)、その下に着用するものを下着といいます。着物の下着とは、正礼装の着物の下に着用する下襲、長襦袢、肌襦袢などがあります。長襦袢は着物や下襲の下に着るもので装飾、実用面の両方の役割をしています。着物の振りから見える長襦袢は着物のセンスがうかがえるところです。冬は袷の長襦袢にすることで温かく、夏は下着が透けるのを防いだりします。また着物の衿、袖、裾などへの汚れもつきにくくなります。また長襦袢の丈は、対丈(ついたけ)といって着物のように「おはしより」がなく、着るとちょうどの寸法に仕立て袖は広袖に仕立てられます。また振袖や若い方の着物で袖の丸みが大きい着物の下に着用する長襦袢の場合は着物に沿うよう長襦袢の袖にも丸みをつけます。また長襦袢の衿の仕立てには、通し衿の関東仕立てと別衿の関西仕立てといわれるものがありますが最近では別衿仕立てが好まれるようです。衿の種類としてはゆかたなどの衿に用いられる棒衿(ぼうえり)、三味線の撥のように先が広がっている撥衿(ばちえり)、着物の衿と同じ仕立ての広衿の3種類があります。
関西仕立て
(別衿仕立て)
関東仕立て
(通し衿仕立て)
衿の種類
撥衿   棒衿   広衿

 

長襦袢の衿には必ず半衿をつけます。装飾と実用を兼ねた意味で長襦袢の衿を覆うようにつけます。長襦袢は頻繁に洗濯できませんので、半衿をおおきな縫い目で留めるように縫い付け、こまめに付け替えます。関東衿の通し衿仕立てには、半衿を持ち出したように付けます。半衿は着物美人の第一歩といえます。

 

下襲

・下襲(したがさね)和装では着物を長着(ながぎ)、その下に着用するものを下着といいます。着物の下着とは、正礼装の着物の下に着用する下襲、長襦袢、肌襦袢などがあります。下襲とは、正礼装の着物である黒留袖、振袖などの下に重ねて着るものをいい、本襲(ほんがさね)と比翼(ひよく)仕立てがあります。下襲は正礼装の着物の下に重ねて着るのですが、正礼装の着物である喪服には「(不幸が)重なる」と嫌われ、最近では下襲を着用したり比翼仕立てをしないようです。
・本襲(ほんがさね) 本襲とは礼装の着物の下に着物と同じ形をした薄い着物のことをいい、着物と長襦袢の間に着用する下着のことです。本襲の素材は、礼装ということで白の羽二重が多く用いられます。最近では手軽さや費用などを重視することから下襲を見かけることが少なくなりました。
・比翼(ひよく)仕立て比翼仕立てとは、外見からは本襲をしているかのように見える仕立てのことで、本襲でつかわれる羽二重などの別生地で、衿、袖口、振り、裾の部分に縫い付けた本襲の形式的な形のことをいいます。最近では費用面や着用のしやすさなどから比翼仕立てが好まれています。下襲の種類

・本襲(本式)

・比翼仕立て(略式)

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帯締めと帯揚げの結び方

このページは帯締めと帯揚げの綺麗な結び方をご紹介します。
むやみやたらと結ぶのではなく、基本を把握して丁寧にむすびましょう。
帯締めは大きく分けて 平組 と 丸組 がありますが、
どちらも基本は同じです。
帯揚げの結び方は基本結びの他に、振袖や留袖のときに用いる
「山結び」「一文字結び」などがあります。

 

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着物の生地の種類

2013年09月30日 » 着物の生地の種類
和装用の生地でよく聞く名前も、どんなものなのか知っておくといいですね。
和装で一般に使われる生地は、大きくわけると絹・木綿・麻・毛・化繊の五種類です。
下の表は現代よく使われている生地のうち代表的なものをあげてみました。
ウール
用途 着物・羽織ほか
特徴 厚地の毛織物。和服の場合は普段着用に単衣に仕立てる。夏用サマーウールもある
風合い 丈夫でシワになりにくく、シミも付きにくい。
お召し(おめし)
用途 着物・羽織ほか
特徴 先練り、先染の高級絹織物。しぼが縮緬より細かくなっている。縞、絣などの柄のほか、絵羽お召、縫い取りお召、上布お召などがある
風合い からだに馴染んで裾さばきがよいが、湿気に弱いという欠点もある
唐織り(からおり)
用途 帯・能装束
特徴 刺繍のように模様が浮き出ている。先染めの織り物。華麗で重厚感がある。
風合い 厚手で張りがある。
塩瀬(しおぜ)
用途 帯・半衿ほか
特徴 平織りの絹織物で「塩瀬羽二重」ともいう。「塩瀬」は地名ではなくその語源は不明。
風合い 厚地でパリッとしているが、しなやかなので帯に仕立てると締めやすい。
紗(しゃ)
用途 着物・帯・襦袢ほか
特徴 目の粗い絹織物。二本の経糸左右に互いに位置を変え、すきまを作るもじり織りの一種。
風合い 薄くて軽く、透けている夏用の生地。
繻子(しゅす)
用途 帯・足袋ほか
特徴 経糸と緯糸の組織点が一定の間隔をあけて配置されている織物で素材はさまざま。やわらかく肌触りが良いが、糸が長く浮くので摩擦に弱く擦り切れやすい
風合い ビロードのように滑らかで光沢がある。
上布(じょうふ)
用途 着物・帯ほか
特徴 細く上質な糸で織った麻布で、高級品だが普段着・街着用。先染めの絣(かすり)と後染めようの白生地と両方ある
風合い 薄手で軽く、パリッとした張りがある夏用の生地。通気性があり肌さわりもさわやか。
縮(ちぢみ)
用途 着物ほか
特徴 強く撚った糸を使って織ることにより表面にしぼのある織物。絹・麻・綿など素材もさまざま。
風合い 表面に凹凸があるため肌触りが良い夏用の生地。
縮緬(ちりめん)
用途 着物・帯・帯揚げ・帯締め・バッグ・鼻緒ほか
特徴 表面に細かいしぼがある絹織物。白生地に織って後染めする場合が多い。しぼが特に細かくて高級感のある一越縮緬や地紋の浮き出ている紋縮緬などがある。
風合い ふんわりと柔らかく、体に心地よくなじむ。
綴織り(つづれおり)
用途
特徴 絵画のような自由な模様表現ができる織り方。組織は平織りだが緯糸が色の境目で織り返しつながっていない為「はつれ穴」といわれる隙間がわずかに生じる。
風合い 堅くしっかりしている
紬(つむぎ)
用途 着物・帯・鼻緒ほか
特徴 均一な絹織物にならないくず繭を紡いだ、太くて節のある「紬糸」で織るため、表面に凹凸がある。高価だが普段着・街着用の生地で、先染めの絣と後染めのための生成り地と、両方ある。
風合い ざっくりとした素朴さと、渋い光沢が魅力。軽くて張りがあり暖かい。
緞子(どんす)
用途
特徴 繻子織りの組織で織る、模様のはっきりした絹織物。先染めの場合が多いが、後染めの生地もある。
風合い 光沢があり手触りが柔らかい。
錦織り(にしきおり)
用途 帯・バッグ・鼻緒ほか
特徴 複数の色糸を使って模様を表した先染めの紋織物の総称。金襴・唐織などは錦の一種。
風合い 厚手で張りがあるものが多い。
芭蕉布(ばしょうふ)
用途 着物・帯 ほか
特徴 糸芭蕉の繊維を裂き、手で結んだ糸で作る沖縄の夏生地。先染めの絣が多いが、後染め用生成り地も作られている。
風合い 強い張りがあり、通気性に優れているので涼しい。
羽二重(はぶたえ)
用途 着物・帯・半衿 ほか
特徴 厳密で上質な絹織物。なめらかな平織りの生地で、留袖の比翼などに用いられる。
風合い しっとりと柔らかく光沢があり、体に良くなじむ。
ポリエステル
用途 着物・襦袢・半衿・帯揚げ・足袋 ほか
特徴 化繊繊維なので普段着用だが、家で洗えてシミになりにくい上に丈夫なので、気軽に着られる。なお、化繊は他にレーヨン・キュプラなども使われる。
風合い 軽くて張りがあるが、通気性・吸湿性はほとんどない
木綿(もめん)
用途 着物・浴衣・帯・襦袢・足袋 ほか
特徴 綿花の繊維を紡いだ糸で織る普段着用の織物。先染めと後染めと両方ある。
風合い 通気性・吸湿性に優れ、肌触りが良い。
羅(ら)
用途 帯・夏用コート ほか
特徴 経糸を左右の経糸に絡ませて作る。網目状のすき間が多いもじり織りの一種で、薄く透けている夏用の絹織物。先染めが多い。
風合い 通気性が抜群で、シワになりにくい。
綸子(りんず)
用途 着物・襦袢・帯揚げ ほか
特徴 地紋を織り出した絹織物で、絹の輝きがまばゆい。
風合い 縮緬よりも薄手で、手触り良くやわらか。
絽(ろ)
用途 着物・襦袢・帯揚げ・半衿・帯 ほか
特徴 薄い夏用の。紗と平織りの組み合わせたすき間のあるもじり織りの一種。素材は絹・綿などさまざまで絽縮緬・絽綴れなど織り方のも多い。
風合い 羅や紗ほど透けないが薄くて軽い最も代表的な夏生地。

 

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季節と着物

2013年09月27日 » 季節と着物

「季節によってどんな着物をきる?」簡単に言ってしまうと・・

■ 7~8月は薄い夏物や浴衣(薄くて透ける素材の着物)、
■ 6月と9月は 単衣(裏地がついていない着物)
■ それ以外は 袷せ(裏地のついた着物
以下に書いた表は、一昔前にいわれていた「決まりごと」のような物ですが
今は、昔に比べて空調設備が発達し、あまり決まりごとに拘らなくても良いようになりました。
長襦袢も、袷せを仕立てる方はほとんどいません。
袷せの時期も、いしき当て付で通しています。
真夏にタートルネックのセーターはおかしいし、暑いですよね。
そんな洋服感覚で選択して、あまり昔の「決まりごと」とらわれず、自由に着てみて下さいね。

 


 

3月 梅・紅梅・桃・ボケ・雛人形・つくし
4月 桜・こぶし・くちなし
5月 藤・牡丹・こいのぼり

 

こよみ 着物 襦袢 半衿
3月 弥生やよい 袷せ 袷せ 縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬 塩瀬・綸子
4月 卯月うづき 袷せ 袷せ 縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬 塩瀬・綸子
5月 皐月さつき 袷せ 下旬は単衣 単衣 縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬・後半は単帯 塩瀬・綸子

 


 

6月 菖蒲・あじさい・百合・蛍・さくらんぼ
7月 睡蓮・山百合・朝顔・流水・風鈴
8月 ひまわり・朝顔・赤とんぼ・

 

こよみ 着物 襦袢 半衿
6月 水無月みなづき 単衣 前半は単帯・絽・紗・麻・博多 前半は塩瀬後半は絽
7月 文月ふづき 絽・紗・夏物 絽・紗・麻 絽・紗・麻・羅・芭蕉布 絽・紗・麻
8月 葉月はづき 絽・紗・夏物 絽・紗・麻 絽・紗・麻・羅・芭蕉布 絽・紗・麻
夏用帯揚げ
夏場は絽・紗など薄手のものを
帯締め
通年使える物が多いが、夏場は透かしてある物、細い物を

 


 

 9月 桔梗・月見・すすき・栗・萩
10月 菊・紅葉・銀杏・りんどう
11月 柿・菊・熊手・さざんか

 

こよみ 着物 襦袢 半衿
9月 長月ながつき 単衣 絽・紗・麻・博多・後半は単帯 絽・紗・麻・後半は塩瀬・
10月 神無月かんなづき 袷せ 単衣 前半は単帯・縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬 塩瀬・縮緬
11月 霜月しもつき 袷せ 袷せ 縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬 塩瀬・縮緬

 


 

12月  水仙・寒椿・南天
1月  福寿草・松竹梅・雪
2月   椿・蘭・笹・うぐいす

 

こよみ 着物 襦袢 半衿
12月 師走しわす 袷せ 袷せ 縮緬・綸子・錦織・紬 塩瀬・縮緬
1月 睦月むつき 袷せ 袷せ 縮緬・綸子・錦織・紬 塩瀬・縮緬
2月 如月きさらぎ 袷せ 袷せ 縮緬・綸子・錦織・紬 塩瀬・縮緬

 

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